日本でも夏になるとそうめんやざるそばなどさっぱりした麺を食べたくなりますよね。それは韓国でも同じです。韓国の夏を代表する味といえば、まさに冷麺。ソウルの繁華街、明洞で1978年に創業し現在まで続いているお店が明洞咸興麺屋（ミョンドンハムンミョノク）です。3代にわたって受け継がれた味と、その伝統が息づく明洞咸興麺屋を紹介します。

・咸興冷麺と平壌冷麺
咸興冷麺（ハムンネンミョン）とは現在、北朝鮮に位置する咸興（ハムン）式の冷麺のことです。冷麺は主に朝鮮半島の北部地方で有名な料理で、咸興冷麺とともに有名なのが平壌冷麺（ピョンヤンネンミョン）です。平壌式の麺は主にそば粉を主体として作るのに対し、咸興式はじゃがいもやサツマイモのでんぷんを使用して麺を作ります。そのため、咸興冷麺は噛みきれないほどコシが強く麺をハサミで切って食べます。

・冷麺は冬の食べ物だった？
冷麺は現在、夏を代表する食べ物として親しまれていますが、1849年に書かれた「東国歳時記」では11月（旧暦）の料理とされています。温かいオンドル（床暖房）のなかで食べる冷麺はきっと贅沢なものだったことでしょう。

明洞（ミョンドン）の繁華街に位置する明洞咸興麺屋（ミョンドンハムンミョノク）は、夏になるとひっきりなしに訪れるお客さんたちでいっぱいになります。麺は今も昔も100％サツマイモだけを使用。ユクス（だし）は牛肉、そこにトンチミのスープ（大根の塩漬け汁）を入れて塩加減を調節するので、さっぱりとした味が強いのが特徴です。それではこれからこの店一番の人気、フェネンミョン（刺身冷麺）と、あっさりしたユクス（スープ）の真髄が感じられるムルネンミョン（水冷麺）を紹介します。

席につくとすぐ、湯のみにオンユクス（温かいスープ）を入れてくれます。冷麺の専門店に行くと味わえるオンユクスは牛肉で味を出したもの。お茶のように飲んでもよいのですが、辛いビビンネンミョン（辛いたれで混ぜて食べる冷麺）を食べたあとに飲むと、辛さを和らげてくれる効果があります。オンユクスがなくなると店員の方が注いでくれますので気兼ねなく味わってください。

そして各テーブルの横にいろいろソースが用意されていますが、どのように使用すればよいのでしょう？　

* ヤンニョム（辛いタレ）: ビビン冷麺のソースが足りない時に入れましょう。
* 砂糖 : 刺身冷麺を少し甘くしたいときに使用します。
* 食酢 : 食酢は冷麺の酸味を調節するため、個々の嗜好に合わせて入れます。
* からし : からしは水冷麺にだけ入れます。
　　　　 　食酢のようにお好みに合わせて入れます。

明洞咸興麺屋の一番の人気メニューはフェネンミョン（刺身冷麺）。自家栽培のとうがらし粉で作ったヤンニョム（辛いタレ）の味はこの店の自慢。ヤンニョムがかかったエイの刺身とコシのある麺の調和が最高です。

* 食べる方法
1.長い麺をハサミで切る。
2.麺と野菜の刺身をヤンニョムと一緒に均等に混ぜる。
3．ヤンニョム（辛いタレ）が足りない場合、テーブルの上に用意されてあるものを入れる。
4. お好みに合わせて砂糖、食酢、からしを入れる。

牛肉でだしをとった肉水（ユクス）にトンチミスープ（大根の塩漬け汁）で塩加減を調節する、ムルネンミョン（水冷麺）。あっさりさっぱりの味で気分まで爽快に！テーブルに用意されているカラシと食酢をお好みに合わせて入れ、混ぜて食べましょう。

* 食べ方
1. 長い麺をハサミで切ります。
2. 麺と野菜をスープにほぐす。
3. 麺とスープのそのままの味を確かめる。
4. お好みに合わせてカラシと食酢を入れる。
5. 冷麺が3分の1ほど残ったらヤンニョムを入れて食べる。

ソンマンドゥ（手作り餃子）は北朝鮮式のもの。豚肉と豆腐、ニラなどを入れ作り、さっぱりとした味が絶品です。8,000ウォン。