ここは弘益（ホンイク）大学を中心に広がる街、弘大（ホンデ）。たくさんの学生や若者たちが行き交うこの街には、おしゃれな洋服店や雑貨店、レストランやカフェなどがひしめきあっています。今回紹介するのは、そんな弘大の一角に位置するカフェ「Thanks Nature Cafe（サンクス　ネイチャー　カフェ）」です。しかしここは従来のそのものとは大きく異なる、珍しいカフェなのだといいます。一体どんなお店なのでしょうか？さっそく一緒に覗いてみましょう。

弘益大学の正門から徒歩1分、建物の地下1階に位置している「Thanks Nature Cafe」ですが、お店全体が開放的な構造をしているため、地下特有の窮屈感はまったく感じられません。それに加え「Thanks Nature Cafe」という店名にちなんだ、自然あふれる緑の木々が疲れた身体を癒してくれます。まわりを見渡すと勉強や仕事に精を出す人々の姿もちらほら。都会のオアシスを思わせるような落ち着いた空間が人々の背中を押してくれるようです。

席を確保し、カウンターで注文を済ませてホッとひといき。すると突然、「んめぇぇぇ～!!」という鳴き声が聞こえてきました。何事かと振り返るとそこには可愛らしい2頭の羊が！もうおわかりですね？そう、ここは知る人ぞ知る弘大の通称「羊カフェ（ヤンカペ）※」です。（※「ヤン：羊、カペ：カフェ」 / 羊はテラスの部分に設置された小屋にいます。）

近年、猫カフェや犬カフェといった動物たちと触れ合えるカフェが増えつつある韓国。しかし“羊”がいるカフェはきっと世界的に見てもここが初めてじゃないかな～と答えてくださったのは「Thanks Nature Cafe」のオーナー。なぜ猫や犬ではなく、羊が思いついたのかというワウソウルスタッフの質問に対して「羊を嫌いな人はいないんじゃないかと思って･･･ただ、飼こうと思わないだけで。」と終始ニコニコ。それもそのはず、店内には羊の絵画や、全国の「Thanks Nature Cafe」ファンのお客様からプレゼントされたという羊の置物の他、オーナーご自身のパソコンとスマートフォンの待ち受け画面も羊、羊。大の羊好きでいらっしゃるのが一目でわかります。

日本や中国の他にも遠くノルウェーやフィンランドからも羊に会いに、たくさんの人々が「Thanks Nature Cafe」を訪れるといいます。オーナーのfacebookページには海外からも「○月○日には羊さんはいますか？」といった問い合わせがひっきりなしに寄せられるといいます。理由は、その日の天候や諸事情によって羊に会えない日もあるからだそうです。

極暑期には都会の暑さに耐えられない羊たちを江原道・平昌（ピョンチャン）にあるチルメ牧場へ里帰りさせるといいます。そして、一定の大きさを超えた羊たちは「Thanks Nature Cafe」を卒業し、また新しい子羊が「Thanks Nature Cafe」へやってきます。すなわち、羊たちは幼少期のみをここで過ごすというわけなのです。1ヶ月に一度はお風呂にも入り、動物特有の匂いもほとんどといってよいほど感じられない羊たち。真っ白で真綿のような触り心地がたまりません。オーナーが名前を呼ぶと「んめぇぇ～」と返事をし、オーナーの姿が見えただけでも嬉しそうな表情を浮かべる羊たち。ここまで来ると本当に家族の一員。羊たちがここを巣立っていく時はとても寂しいと語るオーナー。しばらくは毎日のように牧場に電話をかけ、羊たちの様子を伺ってしまうといいます。
ワウソウルの取材時（2013年5月）にお店にいたのはサラン（愛）ちゃんとキップム（喜び）ちゃん。いつかお別れの日が来るというお話を聞いてちょっぴり寂しくなってしまったワウソウルスタッフでしたが、今この瞬間を大切に、その姿をたくさん写真に収めました。

★オーナーのご指導のもと、エサやりにも挑戦してみました。カメラ目線もバッチリの羊たち。とっても可愛いです！

2007年にカフェレストランとしてオープンした「Thanks Nature Cafe」。2011年に現在のオーナーがお店を引き継いだのと同時に羊の飼育を始めたそうです。これまで、広告関係のお仕事をされていたというオーナーのセンスが光る、実に豊富な品数を誇るカフェメニューがお店を訪れる人々を楽しませてくれます。時期によって羊に会えないこともありますが、カフェだけを楽しみたい方でも充分満足できるのが「Thanks Nature Cafe」の本当の魅力です。

★いちごワッフル（季節限定メニュー）：9,000ウォン
「Thanks Nature Cafe」のおすすめメニューは、ワッフルです。今回紹介する「いちごワッフル」は季節限定メニューですが、このような四季折々のデザートやアイスクリームがのったワッフルがお店を訪れる人々を虜にしています。ワッフルは注文を受けてから焼き始めるため、提供まで10～15分程度時間がかかります。ボリューム満点、ふわふわワッフルをぜひ、食べてみてください。

★サンクスネイチャーチョコレート
ホット：5,000ウォン
アイス：5,500ウォン（写真左）
お店の名前が入ったチョコレートドリンクは「Thanks Nature Cafe」のメインメニューでもあります。他店のチョコレートドリンクの多くがチョコレートシロップと牛乳のみで作られるのに対して「Thanks Nature Cafe」は本格ココアパウダーや特殊なチョコボールなどを使用した、オーガニックドリンクに仕上がっています。お好みで生クリームをトッピングしてもらうこともできます。


★マスカットエイド：6,000ウォン（写真右） / （エイド類の参考価格：5,000～7,000ウォン）
続いて人気が高いのはエイド類です。韓国では、炭酸飲料には加糖されたサイダーが使用されるのが一般的なのですが「Thanks Nature Cafe」では純炭酸水を抽出する機械を導入することにより、フレッシュフルーツと新鮮な純炭酸水のみを使用したエイドを楽しむことができます。今回紹介するマスカットの他にも、レモン・オレンジ・グレープフルーツ・キウィ・ブルーベリー・ゆず・いちご（季節限定）など、果実のつぶつぶ感を感じられるエイドが揃っています。

★コーヒー豆についての豆知識
「Thanks Nature Cafe」ではコーヒー豆にも強いこだわりがあります。韓国のコーヒー豆のなかでも最上級のブランド「江陵TERAROSA（カンヌン　テラロサ）コーヒー」の新鮮な豆が毎朝お店に運ばれてきます。右の写真のように、袋詰めにされているにも関わらず、香り高いコーヒー豆の存在感に圧倒されるほど。実によい香りを放っています。「Thanks Nature Cafe」はソウルで「江陵TERAROSAコーヒー」を味わえる数少ないお店でもあるのです。

羊とも遊んで、美味しいコーヒーやデザートに満たされる弘大（ホンデ）散策。興味がわいてきませんか？ここは韓国の人気バラエティー番組「私たち結婚しました」でSUPER JUNIORのイトゥク＆女優カン・ソラカップルがデートで訪れたカフェとしても知られています。ロケの際に撮影された秘蔵写真も展示されているのでファンの方は必見です！また、ここでは定期的に絵画の展示会なども行われるなど、アートの街弘大ならではのイベントも盛りだくさんです。弘大にお越しの際はぜひ、「Thanks Nature Cafe」にも立ち寄ってみてくださいね。