韓国の伝統家屋である韓屋（ハノク）をそのまま活かしたモダンな街並みに、おしゃれなショップやカフェが軒を連ねる三清洞（サムチョンドン）。景福宮（キョンボックン）や仁寺洞（インサドン）の観光を兼ねて少し足を伸ばすと気軽に立ち寄れる注目のスポットです。にぎやかな都会のイメージとは異なる、ゆったりとした時間が流れるこの街に今回紹介する「ソウルで二番目においしい店」があります。一体どんなお店なのでしょうか？

三清洞のメイン通りを歩いていくと「ソウルで二番目においしい店」というユニークな店名のお店を発見。小さいながらも毎日多くのお客さんであふれています。そう、ここは三清洞の知る人ぞ知る、おしるこの名店。子どもからお年寄りまで幅広い年齢層の人々に愛されているお店です。またひとり、サラリーマン風の男性がおしるこをテイクアウト。

ここでは“おしるこ”と紹介していますが、韓国語の名前は「タンパッチュッ（小豆粥）」といいます。日本人にとっても馴染みの深い小豆。実は韓国でも小豆を食べる習慣が多く、ひとくちに「タンパッチュッ」といっても日本のおしるこやぜんざいに似たものから、お米やもち米と一緒に炊いたものまでさまざま。「ソウルで二番目においしい店」で食べられるタンパッチュッは日本のおしるこにもっとも近い姿をしているためメニューにも“おしるこ”と書かれています。

器の蓋をあけると、ずっしり大きな丸餅に大粒の小豆、栗に銀杏と、なんとも具だくさん！アクセントにシナモンパウダーがかかっているのがこのお店の特徴ですがシナモンが苦手な人は「ケッピ　ペジュセヨ」と一言添えるとOK。舌触りのよいサラサラとした食感は、これまでのおしるこのイメージを変えてしまうほど。甘すぎない味付けは食後のデザートや、おやつにピッタリ。一度食べると虜になってしまう魅惑のおしるこ。外国人のお客さんのなかにもこの味が忘れられず韓国に来るたびにお店を訪れるというリピーターも多いといいます。

1976年にオープンした「ソウルで二番目においしい店」。オープン当初は実は、伝統韓方茶の専門店でした。しかし、伝統茶には独特の匂いやクセがあり飲めない人が多かったため、サイドメニューとしておしるこも販売するようになったのがはじまり。もちろん現在でも伝統茶を楽しむことができます。十全大補湯（シプチョンデボタン）という10種類の韓方ブレンド茶と、鹿の角のゼリーを溶かして飲む珍しい鹿角大補湯（ノッカッテポタン）は体にとてもよいお茶。しかし、良薬口に苦し。独特の味のため飲みきれる人は多くないそう。

今回は外国人でも飲みやすい水正果（スジョングァ）を紹介しようと思います。こちらは韓方茶というよりもデザートとして親しまれてきた飲み物です。シナモンと生姜を煮て作るため、ピリリと刺激のある味が特徴。そこへ干し柿を入れ、松の実を浮かべた、見た目も可愛らしい一杯。「ソウルで二番目においしい店」の水正果には大きな大きな干し柿がひとつまるまる入っています。干し柿は宴や祭祀の際に欠かせない果物だったそうです。小皿に取って食べましょう。

店内に入って一番最初に目に付くのは、せっせとおしるこを作る“お母さん”のような店員さんたち。次々と作っては熱々のおしるこをお客さんのもとへ運びます。店の奥の厨房で作業をする方も含めると、通常10名ほどの店員さんたちが毎日忙しく働いているそう。まるで親戚の家に遊びに来たかのような、親近感をおぼえるお店の印象です。お母さんの手料理にはかなわないから「ソウルで二番目においしい店」。三清洞でのんびり散策を楽しんだ後はぜひ、立ち寄ってみてはいかがでしょうか？