鍾路3街（チョンノサムガ）駅15番出口を出て、貴金属通りから一本裏通りへ入るとクルポッサム（牡蠣と茹で豚を包んで食べる料理）のお店が集まる、別名「鍾路3街クルポッサム通り」があります。お昼どきには閑散とするこの通りですが、夜になると飲み会などでお客さんがちらほらと集まり始め、お酒を飲む人たちでにぎわいます。店の前では肉を茹でる店の主人や店員さんたちが「いらっしゃい」「サービスしますよ」と声をかけ、お客さんを呼びこもうとする姿はこの通りの日常の光景です。同じメニューを提供するお店が集まっているため、どこへ行こうかと迷ってしまいますが、そのなかでも「韓方クルポッサム」で有名なチョンジュチプを紹介します。

全州チプのメインメニューはクルポッサムで、そのほかにもチョッパル（豚足）やお酒のおつまみのメニューが豊富です。
[クルポッサム 価格]
小 : 20,000ウォン (2人分)
中 : 25,000ウォン (3人分)
大 : 30,000ウォン (4人分)
特大 : 40,000ウォン (4人分～)
牡蠣追加 : 10,000ウォン
ポッサムキムチ追加 : 10,000ウォン

「韓方クルポッサム」としてマスコミにも紹介されているこの店のポッサムの美味しさは、韓薬材にあります。トウキ、五味子（オミジャ）、甘草、桂皮など15種類の韓薬材から引き出したスープに豚肉を入れ、ちょうど一時間だけ茹でることがこのお店の味の秘訣。特に最初にポッサムの肉を茹でたものを今まで継ぎ足しながら使ってきました。2012年秋に発生した大火災でこの通りのほとんどのお店が全焼したにも関わらず、このスープは最後まで守りぬいたといいます。

韓方スープで茹でたあとに冷ました肉とポッサムキムチ、そして生牡蠣が大きなお皿に盛られて出てきます。キムチは白菜キムチと大根キムチの2種類で、ポッサムキムチは発酵させないため、甘みが強くピリっとした辛さが加わったサラダのような味です。牡蠣は韓国・慶尚南道統営（トンヨン）産を使用。この統営産の牡蠣はふっくらとし、牡蠣の香りが深いのが特徴で、肉とポッサムキムチを添えて食べるときその香りの真価が感じられます。最初にはそれぞれの食材を味見して、お好みに合わせて味噌を付けて食べたり、野菜に包んで食べたりすることをおすすめします。

ポッサムを注文するとカムジャタン（豚肉の背骨を煮込んだスープ）とケランチム（蒸し卵）がサービスで出てきます。カムジャタンは各テーブルに置かれたガスレンジの上に、お店の方が鍋を置き火をつけてくれます。最初、カムジャタンのスープの色が白いのは、ヤンニョム（合わせ調味料）がスープのなかに隠れているため。おたまでスープとヤンニョムをよくかき混ぜたあとぐつぐつしはじめたら火を弱め、取り皿にとって食べて下さい。

韓方薬材で肉を包み、各種ヤンニョムで和えた味わい豊かなポッサムキムチ、そして新鮮でみずみずしい牡蠣まで一度に楽しめるチョンジュチプ。韓国の大手テレビ局3社すべての取材を受けたほどで、味とサービスのすべてが認められたお店です。いつもお店の前で豚肉をゆでるご主人の温かな真心こそが、名店として選定されうる理由なのではないでしょうか。韓国旅行で友人たちとともにお酒とおしゃべりを楽しみたい方は、ぜひ韓方クルポッサムで有名なチョンジュチプを訪れてみてください。