今、じわじわと注目を集め始めている西村（ソチョン）と呼ばれる地域があります。朝鮮王朝最初の宮として有名な「景福宮（キョンボックン）」と韓国の大統領官邸「青瓦台（チョンワデ）」からもほど近い場所に位置する街です。
今回は、そんな西村の街を約30年間見守り続けてきた「孝子（ヒョジャ）ベーカリー」というパンやさんをみなさんにご紹介しようと思います。お店の外観からも昔ながらのパンやさんといった雰囲気が醸し出され、ふと立ち寄ってみたくなるような親近感さえ感じられます。

西村の目印でもあり、地域のご老人たちの憩いのスポットでもある「亭子」のすぐ隣に「孝子ベーカリー」はあります。焼きたてパンのよい香りが街一帯を包み込むように広がっているので、はじめてお店を訪れる方でもすぐに見つけることができるでしょう。なんでも、西村では「孝子ベーカリー」を知らない人はいないといわれるほどですから、もしも道に迷ってしまったら周囲の方へ「ヒョジャベイコリ　オディエヨ？」と尋ねれば解決！

建物の2階と3階には工房が設けられているため、次々と焼きたてのパンが1階の売り場に並べられます。天板が熱いままのものもあるので火傷には要注意です！店内には悩んでしまうほどたくさんの種類のパンが並び、そのすべてが昔なつかしの素朴な味わいを演出します。小さい頃に食べたパンの味を求めて遠方から「孝子ベーカリー」を訪れる方も多いのだそう。お店は今もなお現役でパンを焼き続けているお父様の代に始まり、現在は2代目である息子のユ・ソンジョン社長が指揮を執ります。

「孝子ベーカリー」のパンは、地域の幼稚園や教会などといった施設でも食べられているため、ユ社長は毎日配達に大忙し。なかでも注目していただきたいのが、トウモロコシとたまねぎ、チーズが練りこまれた「コーンブレッド」。このパンは韓国の大統領官邸「青瓦台（チョンワデ）」でも長きに渡って食べられているパンなのだといいます。その他にも健康によい発酵パンや、お茶菓子にもぴったりのせんべいなどが高い人気を誇っています。

アーモンドせんべいやベイビーアーモンドせんべいは三清洞（サムチョンドン）や北村（プクチョン）のカフェなどにも納品され、人々に愛されているといいます。たっぷり入って価格は4,000ウォンとお財布にも優しいのが嬉しいですね。

西村（ソチョン）が注目を浴びるようになったのは、再開発が進み始めたここ1、2年ほど。その間に、新しいお店や飲食店がオープンするようになり、また新しい西村の歴史が刻まれはじめました。そんな、移りゆく街並みを見守りながら昔ながらの製法で人々を魅了し続ける街のパンやさん「孝子ベーカリー」。お近くにお越しの際はぜひ一度、立ち寄ってみてはいかがでしょうか？