伝統と現代が共存している姿が印象的な三清洞（サムチョンドン）。韓国の伝統家屋、韓屋を改造して作ったギャラリー、カフェ、商店を見ているだけでも心にゆとり感じられるところがまさに三清洞です。

そこで今回はこのようなゆとりと同時に、癒される場所を紹介しようかと思います。まさに美しい絵がある家、という意味を持つ「佳畫堂（カファダン）」です。多くの人が行き交う通りを少しはずれ、路地に入ってあちこちを縫うように進むと出くわしそうな佳畫堂（カファダン）。誰も知らない私だけの空間、という印象が強く感じられるところです。

高い石段を上がって入っていくと、こぢんまりとした庭が迎えてくれます。高いところに位置しているため、庭の前には三清洞（サムチョンドン）の風景が一目に入ってきます。韓屋の屋根が幾重にも連なっている様子はカメラのフィルムに収めずにはいられないように作ったのではないかと思うほど美しいです。靴を脱いで店のなかに入っていくと店名のとおり“美しい絵があるところ”らしく、壁面にかかっている華やかな絵が目をひきます。床には畳が敷かれており、日本の雰囲気がほのかに感じられ、見知らぬ場所とは思わせないようなお店です。

佳畫堂（カファダン）にはさまざまな種類の伝統茶が取りそろえられています。そのなかでも最も人気があるメニューは酸味、甘味、辛味、苦味、塩味の5種類の味を出す五味子（オミジャ）茶。柚子の甘酸っぱい香りと、特有のほろ苦さが感じられ、甘みがないのが特徴の柚子ジュース。ビタミンAとCの含有が高くてお肌に良く、濃い紫色をした覆盆子（ポップンジャ）茶です。

すべての伝統茶は佳畫堂（カファダン）で手作りされていて、お茶はホットとアイスを選択可能です。価格はすべて8,000ウォンで、五味子茶の場合は原液を購入することもできます。原液の価格は、大200ml　20,000ウォン、小100ml 12,000ウォンです。

お茶にはそれぞれ茶菓が提供されます。サービスとはいえ、一つの絵であるかのように、美しい茶菓は食べるのがもったいないほどです。

薬菓（ヤックァ）は小麦粉に蜜を混ぜてこねたあと、油であげる伝統おやつ。佳畫堂（カファダン）では丸っこくふっくらとした薬菓と、一緒に食べると美味しい果実が盛り付けられています。サクッとしながらも香ばしい味を出し、柔らかく広がる食感は一度食べるとやめられません。

韓屋の美しい姿と風景を大切にする佳畫堂（カファダン）。こじんまりとした庭に置かれた小物を眺めるのもひとつの楽しみです。静かな雰囲気が好きな方なら、三清洞の佳畫堂（カファダン）はかならず訪れてみたい名店です。